狂おしいほどに、抱きしめて〜エリート社長と蕩けるような甘い蜜愛〜

唇が離れた瞬間、彼の陶器のように透き通った白い肌が、紅に染まった。
全身の血液が顔に流れ、彼は頬が熱いのだろう。右手で彼は頬に触れると、はぁ、と深く息を吐く。

「栗花落って……結構、大胆なんだな」

スクリーンで上映されている映画は、今まさに新展開を起こしている。
だが、栗花落も翔も、もう画面を見てはいない。

(キス、しちゃった……)

ドキドキと心臓の音が速まっていく。
彼の唇は予想以上に柔らかくて、触れた瞬間から身体がじわりと熱くなった。

「唇がいいなら、もうどこでもいいよな?」

翔のそんな一言とともに、彼の唇は栗花落の首筋に向かい、這うようにキスをする。
「んっ……」
甘ったるい声が漏れて、ドクンと心拍数が上がる。
彼の舌が、首筋を愛撫するように舐めていく。
首筋が唾液でひんやり冷たく感じるが、彼の体温と熱に触れた身体は、徐々に熱を帯びていった。

「こんな個室でさ……栗花落の方からキスされたら、俺。止まらなくなる」

彼は物欲しそうに栗花落を上目遣いで見つめ、その先の言葉を求めている。
こういう時、自分の想いを真正面から伝えるのは、少し勇気が要るけれど。

「……うん。いいよ?」

栗花落は一度頷いて、続けた。

「もう、我慢しなくて、いいよ?」

翔の愛は、もう十分過ぎるほど理解したつもりだ。
だから、今度はその愛に応えたい。

彼と一緒に、幸せになりたいのだ――――。

翔は栗花落の肩を押して、ソファに押し倒す。
その上に跨った翔は、はぁ、はぁと熱く息を吐きながら、栗花落の唇に一直線で向かった。

ちゅっと音を立てて、唇が重なる。と思ったら、すぐに唇がまた重なり合って、舌が絡んだ。
彼の濡れた舌先が、栗花落の歯の裏側を舐める。
それから上顎を舐め、舌を何度も絡ませると、唇が離れた時には唾液が糸を引いた。

「……栗花落と、一緒になりたい」

彼の欲望が、こんなところで終わるはずがないことを、栗花落も理解している。

(それは、私も……)

好きになった男とは、身体を重ねたい。
彼氏と別れたばかりだからとか、そんなのは関係ない。

今、この瞬間、栗花落は翔と繋がりたいのだ。
どうしようもなく愛して、快楽を貪り、幸せを抱いて溺れたい。
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