狂おしいほどに、抱きしめて〜エリート社長と蕩けるような甘い蜜愛〜
翔と一緒に料理を食卓に並べて、一緒に手を合わせる。

「「いただきます」」

栗花落はまずお味噌汁から飲むと、ほっと息を吐いた。
そして、翔に言いたかったことを話し始める。

「あのね? ようやく荷解きが終わったの! 翔にも部屋、一緒に見てもらいたいな~」

すると、翔は食べる手を止めて言った。

「部屋? もうできたの?」
「うん! 結構綺麗に整頓できたんだよね。CD多すぎ問題はあるけど」
「CD? 栗花落は誰が好きなの?」

趣味の話は、今まで翔にしたことがなかった。
少し抵抗があるが、翔とはそれなりに関係性も築けているから、隠す必要もないだろう。

「……お恥ずかしながら、K-POPを嗜んでいます」

「ああ。CD買ったら、握手会とかに参加できるっていう?」

栗花落はうんうんと、首を縦に振る。

「あんまり課金できてないから、チェキとかはないんだけどね。楽しいよ? ライブ行くと、オタ活楽し~! ってなる!」

「……その人は、俺よりかっこいい?」

彼の顔を見ると、翔は子どものようにぷっくりと頬を膨らませて、とっても拗ねたご様子だった。
栗花落は慌てて弁解をする。

「えっ。あ、あのね!? 推しと彼氏は、全然違う! アイドルは絶対に付き合えない! ただの偶像として崇めてるだけなの。でも翔は、ずっと一緒に居ると落ち着くな~って、これからも一緒にお出掛けしたいな~って、違うベクトルの好き! 翔のことが世界で一番大切なのは変わらない!」

「……ふぅん。そういうもんか」

翔は納得したような、してないような表情だ。
おそらくだが、オタ活の世界に詳しくない翔にとって、同じ異性を崇めているのは楽しくないのだろう。

(確かに、私も翔がアイドル追いかけてたら、思うことはあるかもしれない……)
栗花落は一旦箸を置いて、真向かいに座る翔の鼻に、人差し指をツンと当てた。

「私は、翔が好き! それは、絶対なんだから。忘れないでね?」

栗花落がそう、きちんと言葉にして伝えると、翔はクスッと笑う。

「そっか。なら安心だね?」
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