狂おしいほどに、抱きしめて〜エリート社長と蕩けるような甘い蜜愛〜
どうやら、翔は新しい思い出作りに旅行に行きたいようだ。
栗花落も今は落ち着いてきているし、翔も行きたいと思っているのなら、断る理由はない。

「いいよ! 一緒に行こう? 草津? 箱根?」

どちらも学生時代に行ったことはあるが、良い場所だった。
草津は温泉の湯けむりで視界が真っ白になるところが印象的で、箱根は商店街を歩くのは楽しかった思い出だ。

「考えたんだけどさ。二人の貸し切り露天とかも良いけど、学生みたいに一緒にはしゃげるのも楽しいよなって。そう考えたら、『箱根サンサンシティ』とかもいいなって」

『箱根サンサンシティ』とは、男女混浴の水着着用必須の温泉施設だ。
多くの種類を誇る温泉施設で、家族連れから恋人、友達まで、幅広い世代から人気のある施設である。

「あ~。私、子どもの頃行ったことがある! 最近だと、ドクターフィッシュとかもあるんだよね?」

「そうそう。一緒に角質を食べてもらわないか?」

それはなんとも、面白い提案だ。
栗花落はクスクスと笑い出す。

「ふふっ。それ良いかも! じゃあそこにしようか!」

二人は食事を終えてから、一緒にパソコンで『箱根サンサンシティ』について調べる。ここはホテルも併設されており、宿泊も可能な施設だ。
公式キャラクターのゆるい感じも可愛くて、クーポンも探せば多く、調べれば調べるほど興味が湧いてくる施設だと思う。

「結構空いてるね? 来週も空いてるよ?」
「ああ。もう予約しちゃおうか?」

「そうしよ! 水着は持ってる?」
「ああ。五年も昔のだけど」

「私は去年買ったのがあるから!」
「へぇ。栗花落の水着姿、楽しみだな」

そう言えば、翔に水着姿を見せるのはこれが初めてだ。
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