狂おしいほどに、抱きしめて〜エリート社長と蕩けるような甘い蜜愛〜
(日焼けしたくなくて、あんまり露出の多い水着じゃないんだけど……。でも、すっごく可愛いから、きっと好印象なはず!)

翔はクレジットカードの登録をして、サクサクと予約画面を進めていく。
そして、予約完了画面まで到達すると、翔はふうっと息を吐いた。
「よし。予約取れた。来週は温泉旅行だな?」
「うん! 今から楽しみ!」

栗花落はソファの隣に座る翔の肩に頭をのせて、そっと微笑む。
翔と初めての旅行。それも、温泉旅行だ。
楽しまなくては、大損である。

「あ~! 今から荷作りしちゃお!」
栗花落が大きく伸びをすると、翔は笑う。

「荷解きしたり荷造りしたり、大変だな?」
「ふふ。確かに!」

「で? 部屋、見せてくれる?」
「あ、いいよ! 見て見て!」

栗花落は翔と一緒に自室に向かうと、扉を開く。
彼に部屋を見られるのはドキドキするけれど、とても綺麗に整頓したから、絶対に見てもらいたいのだ。
「おぉ~」

ピンクの遮光カーテンを取り付けた、六畳の部屋。
手前にはパソコンで作業のできるガラステーブルを配置し、その後ろには仕事で使う参考書と、趣味で集めたCDを並べた木製棚を置いている。
その棚の上には、一週間前に行ったレストランで、翔と一緒に撮影した写真を二枚、飾っていた。

「あ。この写真、現像したんだ」
「うん! でも、翔と一緒に撮った写真が少なすぎて、選ぶ余地がなかった……」
すると、翔はすぐさま声を上げる。

「それなら、旅行先でいっぱい撮ろう。ここにも、リビングにも飾ってさ。もう選びきれない、てくらいたくさん」
「うん! 私もそれ、言おうとしていたの!」

これから、彼との思い出が一つずつ増えていって、大切な時間が重なっていく。
それはきっと、とても楽しいものだろう。
この先もずっと、彼と同じ時を歩んでいくのだから、それは当たり前の日常へと変わっていくのかもしれない。

(いいな。幸せな日常が、続いていくっていうのも)

栗花落はそう思いながら、意味も理由もなく、ただ抱きしめたいというだけで、翔の身体に飛びついた。
「ふふっ。大好き、愛してる」

栗花落の言葉に、翔は大きく目を見開くも、その後は嬉しそうに微笑んだ。

「ああ。俺もだよ、栗花落」
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