狂おしいほどに、抱きしめて〜エリート社長と蕩けるような甘い蜜愛〜
「「……」」

互いに気恥ずかしくなって、言葉に詰まる。
彼の鍛え上げられた白い肉体は、何度か目にしたことがあるはずなのに、鮮烈な印象を受けた。
がっしりとした肩幅に、鍛え上げられた上腕二頭筋。その横には逞しい胸筋に、六つに割れた腹筋が一糸纏わぬ姿で目の前にある。
そんな胸の中央で、淡く色づく乳首は、どこか官能的だ。
男性は水泳の際、上半身を出すのが通常ではあるが、その姿は見ているだけで官能的で、全身が火照るような感覚がする。

すると、翔も栗花落の水着姿に、言いたいことがあったのだろう。
沈黙が続いていた二人は、一斉に声を掛け合った。
「あの」「ねえ」
声が重なり合って、二人で同時にクスッと笑い合う。

「水着、可愛いね。そのスカート、大人っぽくて好き」

翔の一言だけで、栗花落は舞い上がってしまうほど嬉しい。
栗花落は胸もあまり大きな方ではないし、肉体に自信がある訳ではないけれど、彼が掛けてくれる一言があるだけで、少しだけ自分に自信が持てるような気がした。

「翔も、似合ってる。というか、水着似合いすぎ」

栗花落の言葉に、翔はクスクスと笑い出す。

「似合いすぎって、どういう意味?」
「えっ。そのまんまの意味!」

「栗花落も、びっくりするくらい大人っぽくて、本当に栗花落? って二度見しちゃった」
「そんなに? この水着、露出少ないからどうだろ? って思ってたけど、翔に気に入ってもらえて安心した」
「確かに、露出の多い水着も良いと思うけど、むしろ見ていて不安になるから、そのくらいの方が好き」
「なんで不安になるの?」

栗花落が疑問を投げかけると、翔は照れ臭そうに笑ってみせる。
「他の男に目をつけられたら、嫌だから?」

それはおそらく、翔の真意なのだろう。
「ふふっ。大丈夫! 安心して? 私は翔しか目に見えてないから!」
「でも、栗花落は可愛いだろう? いつ他の男に目をつけられるか、ヒヤヒヤする」

そう言って、翔は心配そうに栗花落の瞳をじっと見つめた。
「分かった。約束する。翔以外の男性には、絶対についていかない!」
「……約束だよ?」
「うん。約束」
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