狂おしいほどに、抱きしめて〜エリート社長と蕩けるような甘い蜜愛〜
続けて、栗花落も言った。

「でも、その心配は私より、翔の方かな~って」
「……どういう意味?」
「だって、翔はイケメンだし、非の打ちどころないし、まだ結婚してないでしょ? 他の女が放っておかないよな~って、いつも心配」

それは本当だ。
翔が栗花落のことしか見ていないのは普段の言動で分かるが、早く婚姻関係を結んでおかないと、他の女がいきなりかっさらっていってしまうんじゃないか……なんて、無意味な心配をしてしまう。

「俺は、絶対に栗花落を泣かせるようなことはしない」
続けて、翔はムスッと口をすぼめて、栗花落に反論した。
「俺、そんなに栗花落を心配させるような言動してる?」

もしかしたら、今の一言で拗ねてしまったのかもしれない。
栗花落は首を横に振って答えた。
「ううん。翔の愛は、いつも全身で感じてるよ? でも……一般論? かな。翔はモテモテな人生を送ってきたでしょ? 私が手綱を持っていられるか、まだちょっと心配なんだ」
「そっか」

翔はしばらく考えたのち、顔を上げた。
「なら、俺はこれからもっと、栗花落に愛を伝えていかないといけないな?」

翔は栗花落の左手を掴んで、指を絡ませる。
恋人繋ぎをした彼は、クスッと栗花落を見て笑った。

「栗花落は、俺の大切な人だから」
「……!」

改めて言葉にされると、頬が熱くなる。
(俺の大切な人って……)

照れ臭くて、翔と視線を合わせることができない。
でも、彼は思っていることを、そのまま言葉にしてくれる男性だ。
こういう時は、喜んでその言葉を受け入れるべきだろう。

「ありがとう。ねえ、一緒に写真撮ろう? 部屋に飾る用の!」
「ああ。そうだな」

二人で水着姿の写真を何枚か撮影して、スマホのフォルダを増やしていく。
それから辺りをきょろきょろと見渡して、栗花落は一つの温泉を指さした。

「まずは、あの……ワイン風呂、行こ?」

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