狂おしいほどに、抱きしめて〜エリート社長と蕩けるような甘い蜜愛〜
────そうして。
二人で思い切りアクティビティを楽しんでから、男女別の露天風呂に入浴し、ホテルに戻る。そして夕食を会場で一緒に摂り終えると、二人は浴衣姿のまま部屋に入った。
四時間近くアクティビティを体験し、その後も慌ただしい時間を過ごしたせいか、身体はもうクタクタだ。
ふかふかのベッドに腰を落とした栗花落は、思わず寝てしまいそうになる。

「そこの自動販売機で買ってきたんだが。ビール、飲むか?」
見ると、翔の手には缶ビールが二本ある。
栗花落はベッドから跳ね起きて、翔の下まで駆け寄った。
「あ~飲む!! 買ってきてくれたんだ! ありがとう~!」

食事終わりのビールは、格別に美味い。それを知っている栗花落としては、是非とも晩酌を一緒にしたい気分だ。
「夜までまだ時間もあるし、ゆっくりしよう。ただ、栗花落はもう疲れた?」
「う~ん。ちょっと疲れたかも。でも、ビールは飲みたい! これは絶対!」

プシュッと音を立ててビールを開栓し、部屋に用意されていたグラスに注ぐ。
そして、そのグラスを二人で重ねて「乾杯」をした。
「……んっ」
ゴクゴクと喉を通っていくビールの冷たさと辛さに、身体が生き返るような心地だ。
「ぷはぁっ。美味しい~」
先ほどのレストラン会場でもワインは飲んだのだが、ワインとビールでは飲んだ時の感想が異なる。
ワインではワインの、ビールではビールでしか満たせない大人の喜びがあるのだ。

「あ~。美味しい~」
すると、翔はがさがさと鞄を漁って、『ぽりぽりピーナッツ』と書かれた袋を取り出す。
「おつまみもあるぞ?」
「え~! やった~! 食べる!」

先ほど夕飯を食べたことと、おつまみを食べることは、別腹だ。
翔は小皿にピーナッツをのせると、一緒にぽりぽりと食べ進めた。

「栗花落。今日はとっても楽しそうで、良かった」
「うん。楽しかった! こういうところって、友達ともあんまり来ないから新鮮だったんだよね。翔と来れるとは思わなかったよ!」

「俺も。仕事が忙しくて旅行とかしてこなかったから……。栗花落と来れて、良い経験になった」
「あ! この浴衣姿でも、写真撮っておこう?」
「ああ。そうだな」
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