狂おしいほどに、抱きしめて〜エリート社長と蕩けるような甘い蜜愛〜
手を伸ばして、翔と浴衣姿で写真を何枚か撮影する。
翔との旅行はとても楽しいもので、時間があっという間に過ぎていった。
栗花落は二人の写真がスマホのフォルダに増えていくのをにんまりと見つめて、翔に笑顔を向ける。

「翔との思い出が、どんどん増えてる! 私ね、今が人生で一番楽しいの!」
「……それ、ほんと?」

栗花落は全力で肯定した。

「本当! 今日は、連れてきてくれてありがとう!」

栗花落は思い切り、目の前に居る翔を抱きしめる。
彼は少し照れ臭そうに笑ってみせて、栗花落の身体を優しく抱きしめた。

「……俺も、今が一番幸せだ」

彼は目を細めて、過去を振り返る。
「今までずっと、何年も、栗花落のことを誰よりも一番に愛してるのに、なかなか想いを伝えられなくて……。もう、このまま遠くで見てることしかできないのかって、正直諦めていた部分もあった」
「……翔?」

栗花落が顔を上げると、翔は笑う。

「今、栗花落が俺の腕の中にいて、俺と同じ気持ちでいてくれることは、奇跡だと思ってる」

彼の言葉には力があって、栗花落は思わず息を呑んだ。
(私のこと……そんなに真剣に)

「なぁ、栗花落。この奇跡を、もっと肌で感じてもいいか?」
「……え?」

翔は栗花落の腰に手をあて、軽々と足を抱えると、お姫様抱っこの形で栗花落を持ち上げる。
そのまま栗花落は、後ろのベッドに連れていかれ、ぽすんとそこに腰を落とした。
翔は栗花落の上に跨り、ごくりと唾を飲み込む。
そして、栗花落を真っ直ぐに見て言った。

「栗花落。俺、もう我慢できない」
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