狂おしいほどに、抱きしめて〜エリート社長と蕩けるような甘い蜜愛〜
第7話 新しい命
――――そうして、一か月半の時間が過ぎた。

「おはようございます」
「「おはようございます」」

いつも通り出社した栗花落は、自席に着くなり、不快感を示すお腹をさすった。
「うっ」
(なんだろう。気分が……)
今日は朝から、何故か体調が悪い。
栗花落は毎朝コーヒーを飲むのだが、今日はコーヒーの匂いを身体が受け付けず、飲むことができなかった。
だが、温度計で体温を測っても正常だ。
会社を休むほど体調が悪いかと言われると、微妙なところだった。

ただの疲れによるものだとも考えられるが、強いて言うならば。

(女の子の日、来てないんだよね……)

毎月、生理になった日には手帳に〇を書いている。
気になって手帳を確認してみたが、女の子の日が来ないまま、二カ月近い時が過ぎようとしているようだ。
となると、さすがに月経不順で片づけることはできない期間だと思う。

(検査キット、買おうかな……)

栗花落はその日、体調が悪いながらも仕事を終え、定時で帰路に着く。
最寄りの駅にあるドラッグストアで妊娠検査薬を探すと、それを一つ、緊張した手でレジまで持って行った。
会計を終え、栗花落は商品を鞄の中に入れると、いそいそと自宅に帰る。

「ただいまぁ」

声を掛けるも、返事はない。
どうやら、まだ翔は帰宅していないようだ。
(まぁ、そうだよね。翔が定時で帰宅することなんて、滅多にないもの……)

帰宅後、まずは手洗いとうがいをする。
それから妊娠検査薬を手にお手洗いに向かうと、パタンと扉を閉めた。

(初めてなんだよね……。これ使うの)

栗花落は検査薬を開封し、手順書の書かれた紙を開く。
そして、手順書の通りに検査薬を使用し、お手洗いを出た。

(ここに線が浮かび上がったら、妊娠……)

ドクン――――。
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