狂おしいほどに、抱きしめて〜エリート社長と蕩けるような甘い蜜愛〜
「コーヒー、飲めるか?」
「はい。大好きです」
「良かった。熱いから、少しずつ飲んでくれ」

目の前に、コーヒーの入ったカップと砂糖、ミルクが置かれる。
栗花落はミルクを入れてスプーンで混ぜると、それを一口飲んだ。

「……あ、美味しい」

まるで喫茶店で出されるコーヒーのように、それは濃厚で芳醇だった。
「そうか? 少し、落ち着いた?」
「はい。ありがとうございます」

先ほどまでバクバクと音を立てていた心臓も、今では正常な心拍数だ。

誰かが、側に居てくれる。
たったそれだけで、救われる瞬間が、確かにあるのだから。

「それで。少しずつでいいから、何があったか話せるか?」

その優しさに、今は、全力で甘えたい。
自分の周りに起きたことをすべて話して、アイツは最低な奴だ、ずるい奴だと罵ってやりたい。
けれど……それはダメだ。

「……ごめんなさい。言えません」

栗花落はソファに座ったまま、静かに頭を下げた。

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