一途なショコラティエの溺愛にとろけているので、六股幼馴染の束縛はお断り!
6股発覚
「お兄ちゃん! 香菜ちゃん! 交際一週間、おめでとー!」
智広さんと交際してから、一週間後。
日曜の昼間にショコラ・ドゥ・マテリーゼへ顔を出せば、彼の妹さんがお祝いをしてくれた。
私はどう答えればいいのかわからず、曖昧に微笑むことしかできない。
この場合は、祝ってくれたことのお礼を告げればいいのかな……?
普通がよくわからない私は、智広さんに助けを求めようと思って――真剣な表情で両手でヘラを持ち、大理石の上にチョコレートを流し込んでテンパリングを行っている彼の横顔を遠目で見つめる。
やっぱり、かっこいいなぁ……。
ずっと眺めていたくなる気持ちを抑えながら、ショーケースに並べられたショコラを選ぶ。
「今日は、プラリネショコラをお願いします」
「はーい! 今日は、あたしが奢っちゃう!」
「無銭飲食をするわけには……」
「何言ってるの!? これから家族になるんだよ? お兄ちゃんは、香菜ちゃんのためにショコラを作っているんだから!」
「……私のために……?」
「香菜ちゃんって、チョコレートを食べる時、すっごく幸せそうな顔するでしょ? お兄ちゃんは、その表情に惚れたんだ!」
「そうなの……?」
ショコラ・ドゥ・マテリーゼのショコラはけして安くない。
一粒1000円から3000円する、高級チョコレートだ。
毎日となればさすがに厳しいが、一週間働いたあとのご褒美だと思えば問題はない。
私が妹さんに正規の値段を支払わせてほしいとお願いをすれば、ショコラを型に流し終えた智広さんが、私に気づいて厨房からショーケースの前へとやってくる。
その表情は、不機嫌そのもので……。
「香菜に不必要な情報を与えるな」
「あれ? 名前呼びになってる!」
「交際しているのだから、当然だ」
「香菜ちゃん、かわいいもんね~。でも、ほかの男にアピールするなら指輪のほうがよくない?」
「い、いえ……。私はそんな……。智広さんのほうが、女性に大人気で……」
「香菜以外の女性から好かれることに、なんの意味がある」
智広さんの発言に、思わず呆然と立ち尽くしてしまう。
たくさんの女性に求められることは、男性にとってはステータスなんじゃ……?
「なんだか、特別だって……言われているみたいですね……?」
「ああ。そうだ。香菜は俺にとっての、唯一だよ」
私なんかが、誰かの特別になれるとは思っていなかったから……。
とても嬉しくて、自然と笑顔になった。
――智広さんがいるから、私は毎日が楽しくて……幸せに暮らしていける。
その喜びを噛み締めながら、彼の気持ちに答えようと、口を開いた瞬間のことだ。
智広さんと交際してから、一週間後。
日曜の昼間にショコラ・ドゥ・マテリーゼへ顔を出せば、彼の妹さんがお祝いをしてくれた。
私はどう答えればいいのかわからず、曖昧に微笑むことしかできない。
この場合は、祝ってくれたことのお礼を告げればいいのかな……?
普通がよくわからない私は、智広さんに助けを求めようと思って――真剣な表情で両手でヘラを持ち、大理石の上にチョコレートを流し込んでテンパリングを行っている彼の横顔を遠目で見つめる。
やっぱり、かっこいいなぁ……。
ずっと眺めていたくなる気持ちを抑えながら、ショーケースに並べられたショコラを選ぶ。
「今日は、プラリネショコラをお願いします」
「はーい! 今日は、あたしが奢っちゃう!」
「無銭飲食をするわけには……」
「何言ってるの!? これから家族になるんだよ? お兄ちゃんは、香菜ちゃんのためにショコラを作っているんだから!」
「……私のために……?」
「香菜ちゃんって、チョコレートを食べる時、すっごく幸せそうな顔するでしょ? お兄ちゃんは、その表情に惚れたんだ!」
「そうなの……?」
ショコラ・ドゥ・マテリーゼのショコラはけして安くない。
一粒1000円から3000円する、高級チョコレートだ。
毎日となればさすがに厳しいが、一週間働いたあとのご褒美だと思えば問題はない。
私が妹さんに正規の値段を支払わせてほしいとお願いをすれば、ショコラを型に流し終えた智広さんが、私に気づいて厨房からショーケースの前へとやってくる。
その表情は、不機嫌そのもので……。
「香菜に不必要な情報を与えるな」
「あれ? 名前呼びになってる!」
「交際しているのだから、当然だ」
「香菜ちゃん、かわいいもんね~。でも、ほかの男にアピールするなら指輪のほうがよくない?」
「い、いえ……。私はそんな……。智広さんのほうが、女性に大人気で……」
「香菜以外の女性から好かれることに、なんの意味がある」
智広さんの発言に、思わず呆然と立ち尽くしてしまう。
たくさんの女性に求められることは、男性にとってはステータスなんじゃ……?
「なんだか、特別だって……言われているみたいですね……?」
「ああ。そうだ。香菜は俺にとっての、唯一だよ」
私なんかが、誰かの特別になれるとは思っていなかったから……。
とても嬉しくて、自然と笑顔になった。
――智広さんがいるから、私は毎日が楽しくて……幸せに暮らしていける。
その喜びを噛み締めながら、彼の気持ちに答えようと、口を開いた瞬間のことだ。