一途なショコラティエの溺愛にとろけているので、六股幼馴染の束縛はお断り!
「何それ!? こっちも二股ってこと!?」
「うわ、最低。本命彼女の余裕ってこと?」
「六股男に二股女? お似合いじゃない」
「類は友を呼ぶって奴か……」
「どうして一人で、満足できないんですか……? わたしはこんなにも、直也を愛しているのに……!」

 どうやら、一歩遅かったようだ。

 案の定彼女達は勘違いを加速させ、私に二股女と心ない言葉を向けてきた。

 ――ここにいるのは全部で五人。

 全員直也の恋人であるなら、一人足りないけれど……。
 女性の集団達は、最後の交際相手が私だと勘違いしているらしい。

 ――早く誤解を解かなくちゃ。

 せっかく智広さんと、五年の時を経て思いを通じ合わせることができたのに……。
 幼馴染の自由奔放な振る舞いのせいで、破局をすることになるなど考えられない。

「智広さん。これは……!」
「――黙って聞いていれば……」

 私は慌てて彼の意識をこちらに向けようと、背中から飛び出して向かい合わせになろうとしたのだけれど……。

 低い声で唸り声を上げた智広さんは横並びになった瞬間、私の腰へ手を回して離れないように強く抱きしめると、女性の集団に厳しい言葉を投げかける。

「俺の愛する人を不誠実でふしだらな女だと称するような心の持ち主であるからこそ、ろくでもない男に引っかかるのだろうな」
「なんですって!?」
「事実を伝えて、何が悪いのよ!」
「やっぱり、話し合いなんて無理だったんだわ!」
「警察を呼びましょうか?」
「もう嫌……! どうしてこんなことに……!」

 先頭の三人は我を失って怒り狂い、最あと尾の女性は冷静に警察を呼ぼうかと提案し、妊婦は泣き崩れる。

 とてもじゃないが、冷静に話し合いなどできない状態だ。
 彼女達が大人しくなるのなら警察を呼んだほうがいいのではと思う反面、お店に迷惑をかけてしまうと不安が頭をよぎり、瞳が涙で潤んでしまう。

 ここで泣いたら、もっと女性達に勘違いされる。
 智広さんは今でこそ、私を守ろうとしているけれど……。
 いつ、失望したと別れを切り出されてもおかしくない状態だ。

 彼に出会ったからこそ、こうして毎日幸せな日々を過ごせているのに。
 嫌われてしまったら、生きていけない……。
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