一途なショコラティエの溺愛にとろけているので、六股幼馴染の束縛はお断り!
VS幼馴染
 五年も姿を晦ましていた幼馴染が告白を受け入れるはずがないと思っていたからこその驚きに対する疑問を、暴力を振るわれる覚悟でぶつけていれば……。
 こうして智広さんに迷惑をかけなくて済んだのに。

「ほら! 香菜だって、心当たりがあるだろ!? いいよって言ったじゃねぇか!」

 これは私が撒いた種だ。
 彼の力を借りることなく、自分で刈り取らなくてはならない問題だろう。

 両手で握りこぶしを作った私は、直也を睨みつけたまま事実を述べた。

「談話室に付き合ってほしいと言われたから、それを了承しただけ。男女交際をしたいなんて思ったことはありません」
「なんだよ、それ……!」
「髪を切れ、女らしい格好をするな。俺の言うことだけを聞け。逆らえば、壁を蹴ったり怒鳴ってくる……」
「好きな女を独り占めしたいと思うことの、何が悪いんだよ!? 香菜だって、俺のこと好きだろ!?」
「香菜」

 直也はこの期に及んでも、事実を認める気はないらしい。
 智広さんは一人で戦おうとする私を見かねて、後ろから抱きしめてくれた。

 ――大好きな人の暖かなぬくもりさえ感じることができたなら。
 辛くて悲しい過去とも、決別できる。

 もう、逃げない。

 私は憎たらしい男を睨みつけると、はっきりと力強い声で宣言した。

「そんな人を好きだと告げる女性は、あなたに傷つけられたくないから従うだけ。私は直也のこと、ずっと大嫌いだった……!」
「な……」

 直也はずっと、私に好かれていると信じていたらしい。

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