一途なショコラティエの溺愛にとろけているので、六股幼馴染の束縛はお断り!
ショコラティエと七色のトリュフチョコ
荷ほどきを終え、これから住む街を散策しようと思い立った私は、ある民家の外壁を見上げて立ち止まる。
東京から遠く離れた閑静な住宅街の一角に、平屋建ての中古住宅をリノベーションして営まれている小さなお店があった。
『ショコラ・ドゥ・マテリーゼ』
店名が書かれた看板の左下にある窓ガラスには、チョコレートのポロライド写真とともに、おすすめコメントが手書きで記載されている。
私は思わず窓ガラスを覗き込み、賞品説明を凝視してしまう。
『甘くとろけるショコラは、一度口にすればリピート確定!』
『一口サイズのフロランタンは、スナック感覚でぽいぽい放り込めるかも?』
『飴玉みたいなトリュフチョコは、アメリカンな気持ちで味わって!』
おしゃれでおいしそうな写真の撮り方ではあるけれど、手書きで書かれたメッセージがポップすぎて、とてもアンバランスだ。
目を引くことは、確かだけれど……。
七色の虹を思わせるカラフルな蛍光ペンで、食べやすさをアピールするよりも……。
味について記載をした方がいいんじゃ……?
「気になるショコラが、ありましたか」
「きゃ……っ!」
熱心にポロライドを見つめていたせいで、声をかけられるまで気づけなかった。
いつの間にかお店の出入り口から、コックコートを身に着けた男性がこちらの様子を窺っている。
まず目に入ってきたのは、がっしりとした肩幅だ。
それから、長めのスポーツ刈り。
ひと目で男性だとわかる体格に切れ目が合わさると、立っているだけこちらを睨みつけているようにしか思えない。
コックコートを身に着けていなければ、スポーツ選手と勘違いしていただろう。
「よかったら、試食してみませんか」
驚いて二の句を紡げない私に、男性は淡々と話しかけてきた。
どうやら、営業をかけられているらしい。
スイーツ店で、試食?
あんまり、聞いたことはないけれど……。
信号機の色をした毒々しいトリュフはもの珍しくて、惹かれるものがある。
無料なら、いいかな……?
私は思い切って、男性の申し出を受け入れることにした。
東京から遠く離れた閑静な住宅街の一角に、平屋建ての中古住宅をリノベーションして営まれている小さなお店があった。
『ショコラ・ドゥ・マテリーゼ』
店名が書かれた看板の左下にある窓ガラスには、チョコレートのポロライド写真とともに、おすすめコメントが手書きで記載されている。
私は思わず窓ガラスを覗き込み、賞品説明を凝視してしまう。
『甘くとろけるショコラは、一度口にすればリピート確定!』
『一口サイズのフロランタンは、スナック感覚でぽいぽい放り込めるかも?』
『飴玉みたいなトリュフチョコは、アメリカンな気持ちで味わって!』
おしゃれでおいしそうな写真の撮り方ではあるけれど、手書きで書かれたメッセージがポップすぎて、とてもアンバランスだ。
目を引くことは、確かだけれど……。
七色の虹を思わせるカラフルな蛍光ペンで、食べやすさをアピールするよりも……。
味について記載をした方がいいんじゃ……?
「気になるショコラが、ありましたか」
「きゃ……っ!」
熱心にポロライドを見つめていたせいで、声をかけられるまで気づけなかった。
いつの間にかお店の出入り口から、コックコートを身に着けた男性がこちらの様子を窺っている。
まず目に入ってきたのは、がっしりとした肩幅だ。
それから、長めのスポーツ刈り。
ひと目で男性だとわかる体格に切れ目が合わさると、立っているだけこちらを睨みつけているようにしか思えない。
コックコートを身に着けていなければ、スポーツ選手と勘違いしていただろう。
「よかったら、試食してみませんか」
驚いて二の句を紡げない私に、男性は淡々と話しかけてきた。
どうやら、営業をかけられているらしい。
スイーツ店で、試食?
あんまり、聞いたことはないけれど……。
信号機の色をした毒々しいトリュフはもの珍しくて、惹かれるものがある。
無料なら、いいかな……?
私は思い切って、男性の申し出を受け入れることにした。