一途なショコラティエの溺愛にとろけているので、六股幼馴染の束縛はお断り!
 やっと帰れると玄関に向かえば、リビングからは母親の金切り声が聞こえてきた。

「だ、黙って聞いていれば……! 私は香菜の母親よ!? 恋人なんだか知らないけど――!」

 手早く靴を履き玄関ドアに手をかけた私達の元へ、母が追いかけてくる。

『なんて失礼な人なの!? やっぱり直也くんと結婚させるべきだったわ!』

 そう続くはずの言葉が、最後まで紡がれることはない。

「香菜は俺の、妻だ」

 母親が泣こうが喚こうが、私達はすでに恋人ではなく夫婦なのだ。
 邪魔される謂れはないと吐き捨て強く私の身体を抱いた智広さんに誘われ、私達は車に乗って愛の巣へ戻った。

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