一途なショコラティエの溺愛にとろけているので、六股幼馴染の束縛はお断り!
「あの……。これ、食べてみたいです」
「かしこまりました。中へどうぞ」

 私は彼に誘われるがまま、店内に入る。

 男性は奥にあるイートインスペースを指差すと、そこで座って待つように告げた。

「いらっしゃいませー! ご来店、ありがとーございまーす! コーヒーと紅茶なら、どっちがよろしいですか!?」

 恐る恐るテーブルセットの椅子を引いて腰を下ろせば、待っていましたとばかりにカウンターから一人の女性がやってきて、声をかけてきた。

 元気で明るくポニーテールがトレードマークの彼女は、私と同じくらいの年齢に見える。

 私は試食をしにきただけなのに……。

 お客様として扱われるのは、なんだか申し訳ない。

 あとで高額な飲食代を請求されても困るので、ドリンクは断ろう。
< 4 / 37 >

この作品をシェア

pagetop