この空の下で君への想いを叫ぶ

「へぇ…」



莉央に相槌を打ちながら、どこかで見たことのあるようなその顔をじっと見つめる。


どこで見たんだっけな…。



「ねえ王子、ノート持ってくの手伝うよ」


「うんうん、うちらも手伝えば早く終わるし！」



一人の子が一ノ瀬くんの腕に手を伸ばした。


だけどそれを本当にさりげなく、誰にも気づかれないくらいさりげなく、一ノ瀬くんは触られる前に避けていた。



「ううん、大丈夫だよ。ついでに今日の授業でわからなかったところを先生に聞こうと思ってるから。君たちは暗くなる前に早く帰るんだよ」


「きゃー王子優しいー！」



一ノ瀬くんはにこにこと笑顔の仮面を貼り付けたまま、階段を下りていった。