あなたの心が知りたい
マルグリットは、ブルグリ子爵家の長女として生まれた。
家族は父と母、マルグリットと二歳下の妹のポリアナの四人だった。
ブルグリ子爵家の長女として生まれ、いずれは婿を取り子爵家を継ぐため、マルグリットは小さい頃から様々な家庭教師に付いて勉学に作法に努力を重ねた。
それこそ遊ぶ時間などないくらいに。
また、マルグリットは出来が良く、両親の彼女への期待はかなり大きいものだった。
一方、妹のポリアナはそんなこととは無縁で、自由奔放に育てられた。
元々努力が嫌いで、飽きっぽいポリアナは、よく授業をさぼったが、注意をすると手がつけられないくらいに大泣きするので、次第に両親も諦めた。
マルグリットが少し熱があるからと、授業を休みたいと言うものなら、「せっかくお前のために来てくれている先生に申し訳ない。少しぐらい我慢しなさい」と言って、一日も休ませてくれなったのに、ポリアナがコホンとひとつ咳をしただけで、それが仮病だったとしても、授業は中止になった。
ポリアナは天使のように愛らしく、自分がどう振る舞えば周りが可愛がってくれるかわかって行動していた。
そこもマルグリットとは違った。
マルグリットは決められたことはきちんと守り、親の期待に応えることで、自分の価値を保とうとした。
真面目で礼儀正しく、利口な姉。
愛嬌があって、誰にでも可愛がられる妹。
おまけにポリアナは、マルグリットの物を何でも欲しがった。
服も靴もリボンも。人形も。
服や靴はサイズが違うからと言っても、「私のものはわたしのもの。お姉さまのものも私のもの」のでも言うかのように、マルグリットが手にした物を欲しがった。
両親も初めは諭すのだが、聞き入れないポリアナの態度に、「お姉さんでしょ」と言って、マルグリットから何もかも取り上げた。
それでも彼女から奪ったものが本当にほしくて、大事にしてくれるならば納得もしたが、ポリアナは手に入れると途端に興味を無くし、すぐに捨ててしまうのだった。
(どうして私、あれが普通だと思っていたのかしら)
ポリアナに自分のものを奪われるのが、いつしか当たり前になっていた。
それを仕方がないと、諦めていた。
家族なら、分け与えるのが当たり前だと思っていた。
しかし、ポリアナはそうではなかったと、マルグリットは知った。
ポリアナは、マルグリットが自分より高い地位にいることが、自分の持っていない物を持っていることが、許せなかった。
そしてマルグリットから奪うことが、彼女に取っては何よりも至福の瞬間だった。
家族は父と母、マルグリットと二歳下の妹のポリアナの四人だった。
ブルグリ子爵家の長女として生まれ、いずれは婿を取り子爵家を継ぐため、マルグリットは小さい頃から様々な家庭教師に付いて勉学に作法に努力を重ねた。
それこそ遊ぶ時間などないくらいに。
また、マルグリットは出来が良く、両親の彼女への期待はかなり大きいものだった。
一方、妹のポリアナはそんなこととは無縁で、自由奔放に育てられた。
元々努力が嫌いで、飽きっぽいポリアナは、よく授業をさぼったが、注意をすると手がつけられないくらいに大泣きするので、次第に両親も諦めた。
マルグリットが少し熱があるからと、授業を休みたいと言うものなら、「せっかくお前のために来てくれている先生に申し訳ない。少しぐらい我慢しなさい」と言って、一日も休ませてくれなったのに、ポリアナがコホンとひとつ咳をしただけで、それが仮病だったとしても、授業は中止になった。
ポリアナは天使のように愛らしく、自分がどう振る舞えば周りが可愛がってくれるかわかって行動していた。
そこもマルグリットとは違った。
マルグリットは決められたことはきちんと守り、親の期待に応えることで、自分の価値を保とうとした。
真面目で礼儀正しく、利口な姉。
愛嬌があって、誰にでも可愛がられる妹。
おまけにポリアナは、マルグリットの物を何でも欲しがった。
服も靴もリボンも。人形も。
服や靴はサイズが違うからと言っても、「私のものはわたしのもの。お姉さまのものも私のもの」のでも言うかのように、マルグリットが手にした物を欲しがった。
両親も初めは諭すのだが、聞き入れないポリアナの態度に、「お姉さんでしょ」と言って、マルグリットから何もかも取り上げた。
それでも彼女から奪ったものが本当にほしくて、大事にしてくれるならば納得もしたが、ポリアナは手に入れると途端に興味を無くし、すぐに捨ててしまうのだった。
(どうして私、あれが普通だと思っていたのかしら)
ポリアナに自分のものを奪われるのが、いつしか当たり前になっていた。
それを仕方がないと、諦めていた。
家族なら、分け与えるのが当たり前だと思っていた。
しかし、ポリアナはそうではなかったと、マルグリットは知った。
ポリアナは、マルグリットが自分より高い地位にいることが、自分の持っていない物を持っていることが、許せなかった。
そしてマルグリットから奪うことが、彼女に取っては何よりも至福の瞬間だった。