古本屋の魔女と 孤独の王子様
「お忙しい中、お時間を頂きありがとうございました。…私はこれで、失礼します。」
早々日向は立ち上がり帰ろうとする。
俺は少しの寂しさを覚えて、
「せっかく来てくれたんだ。夕飯でも一緒に…。」
そう誘っている最中に、
トゥルルル…トゥルルル…
と、内線が鳴る。
「…はい。」
『来客中に申し訳ありません。あの…雨宮様が、そちらに直接行くと言って聞かなくて、お止めしたのですが、勝手に向かってしまわれました。』
1階の受付け係の申し訳なさそうな声が聞こえて来る。
「…わかりました。上階ロビーで待つよう連絡をお願いします。」
俺がそう伝えている最中に、バタバタと廊下から騒がしい音がする。
「日向、ここで待ってて。」
そう、日向を守るように声をかけて足早に廊下に出る。
最上階には他にも専務や社長の部屋もある。騒ぎになっては厄介だと、俺は自室のドアを締めて立ちはだかる。
雨宮優奈はハイヒールをコツコツと闊歩してこちらに向かってやって来る。
「こんばんは。どうしましたか?
今夜は会う予定は無かった筈ですが。」
俺は先手必勝とばかりに声をかける。
「こんばんは。来客中とお聞きして、ご挨拶をと来ましたの。どなたですか?」
何を勘づいてここまで押しかけて来たのだろうか?
不安が頭をよぎるが、守るべき者はただ1人だ。
「私の客です。なぜ、貴女が会う必要が?」
「どのようなご関係ですか?先週も会ってらしたわよね?」
「私を尾行していたのですか?貴女に何の権利があってそんな事を?」
「私は李月さんの婚約者だわ。貴方の事は全て把握する権利があります。」
ああ、もううんざりだ。
俺の中で何かが壊れて行く音がした…。
「……っ。」
次の言葉を話し出そうとしたタイミングで…。
秘書室から駆け付けて来た酒井が、俺と雨宮優奈の間に立つ。
「雨宮様、副社長はただ今仕事で接客中です。どうぞ、先方のお客様に失礼になります。お引き取り下さい。」
酒井は秘書らしく、頭を下げて丁重に対応する。
早々日向は立ち上がり帰ろうとする。
俺は少しの寂しさを覚えて、
「せっかく来てくれたんだ。夕飯でも一緒に…。」
そう誘っている最中に、
トゥルルル…トゥルルル…
と、内線が鳴る。
「…はい。」
『来客中に申し訳ありません。あの…雨宮様が、そちらに直接行くと言って聞かなくて、お止めしたのですが、勝手に向かってしまわれました。』
1階の受付け係の申し訳なさそうな声が聞こえて来る。
「…わかりました。上階ロビーで待つよう連絡をお願いします。」
俺がそう伝えている最中に、バタバタと廊下から騒がしい音がする。
「日向、ここで待ってて。」
そう、日向を守るように声をかけて足早に廊下に出る。
最上階には他にも専務や社長の部屋もある。騒ぎになっては厄介だと、俺は自室のドアを締めて立ちはだかる。
雨宮優奈はハイヒールをコツコツと闊歩してこちらに向かってやって来る。
「こんばんは。どうしましたか?
今夜は会う予定は無かった筈ですが。」
俺は先手必勝とばかりに声をかける。
「こんばんは。来客中とお聞きして、ご挨拶をと来ましたの。どなたですか?」
何を勘づいてここまで押しかけて来たのだろうか?
不安が頭をよぎるが、守るべき者はただ1人だ。
「私の客です。なぜ、貴女が会う必要が?」
「どのようなご関係ですか?先週も会ってらしたわよね?」
「私を尾行していたのですか?貴女に何の権利があってそんな事を?」
「私は李月さんの婚約者だわ。貴方の事は全て把握する権利があります。」
ああ、もううんざりだ。
俺の中で何かが壊れて行く音がした…。
「……っ。」
次の言葉を話し出そうとしたタイミングで…。
秘書室から駆け付けて来た酒井が、俺と雨宮優奈の間に立つ。
「雨宮様、副社長はただ今仕事で接客中です。どうぞ、先方のお客様に失礼になります。お引き取り下さい。」
酒井は秘書らしく、頭を下げて丁重に対応する。