古本屋の魔女と 孤独の王子様
だけど、どこにも彼女は居なかった。
彼女が出て行ってそんなに経っていない筈なのに、部屋はも抜けの殻で、仕事は既に退職していた…。

ここにはそれ以上の痕跡が無かった。1日、2日…1週間…3週間と虚しく時だけが経って行く。

その間も、ニュースの事件が気になりだし、毎朝見るのが日課になった。そして3週間後に、前田さんに事情を説明して、興信所を雇い彼女を捜す事にした。

俺は藁をも掴む思いで、彼女を探し、休日は全てその事に当てた。
興信所を雇って1週間。やはりプロの仕事は素晴らしい、彼らは日向の足取りを掴む。
日向は俺の家から出たその足で、生まれ故郷の島に帰っていた。

俺と決別するかのように、一切を経って…。
そこでやっと冷静になって考える。日向はこんな俺を求めてはいないと言う事を。
そして、思い出す。彼女が俺に言いたかった事は何か…。
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