古本屋の魔女と 孤独の王子様
この秘書様は、きっと教育係としても優秀なんだろう…。烈火の如く教わりながら、LIMEを使う事になる。
私のスマホはプライベートなんですけど…と言う間も無く…。
祝して彼は私のLIME登録者第1号になった。

それはそれは便利な物で電話も無料で繋げられるし、動画も写真も簡単に送れる。もちろん飛行機のチケットも送られて来て、後は個人情報を登録をして、チェックインカウンターに見せるだけでいいと言う。

世の中便利になったものだと、まるで浦島太郎のような気持ちになりながら話しを聞いていた。

「それでは明日、よろしくお願いします。」
そそくさと帰って行く秘書様を送り出し、やっとホッとひと息吐く。

すると突然スマホが鳴り何事かと見ると、
『明日、6時にうちの運転手が迎えに伺いますので、手違いがないように運転手のLIMEのプロフィールを送ります。登録して下さい。』
と秘書様からメッセージが届く。

かくして、この運転手さんも私のLIME登録者第2号となった。
知らない者同士がこんなにも簡単に繋がってしまう、現代のスマホ社会の怖さを知って、私は1人身震いする。
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