夏の出会いは素敵な恋の予感~超人気俳優になった憧れの先輩は、溢れんばかりの愛情で甘く私を包み込む~
洋子さんの迫力には誰も敵わない。業界でも有名なんだから、この人を怒らせたらどうなるかわからないって――


「……すみません」


高梨さんが頭を下げている。
「ざまあみろ」って感じ。


「どうした?」


「あっ、監督~。聞いて下さい、高梨さんが……」


目を潤ませて監督を見つめる。この人も私の味方。普段からずっと監督には目をかけてもらってる。
全く、大物と呼ばれる人の懐に入るなんて簡単なことだ。


「おいおい、優梨愛ちゃん、泣いてるのか? いったい何があったんだ?」


「私、演技をものすごく頑張ったのに高梨さんに怒られたんです。琉唯君との距離が近過ぎるって。すごく悲しいです」


「高梨君。演技のことには口出ししないでほしい。優梨愛ちゃんは今回大切なヒロインなんだから」


「……申し訳ございません」


「……まあ、いい。優梨愛ちゃん、機嫌直して次のカメラテストも頑張って」


「は~い、監督の期待に応えられるように精一杯頑張りま~す」
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