夏の出会いは素敵な恋の予感～超人気俳優になった憧れの先輩は、溢れんばかりの愛情で甘く私を包み込む～

「……私、ある劇団で舞台女優をしていたんです。チケットもすぐに完売する人気の劇団にいたんですが、私自身はいつまで経っても芽が出なくて……。実力が無かったのはもちろんですが、決定的な理由は……舞台に上がると極度に緊張してしまうということなんです」


「緊張？」


「笑うでしょ？ 舞台女優が聞いて呆れます。でも……舞台に上がると上手く声が出せなくて、演技ができなくて」


「そんな……」


朝吹さんは、私に同情してくれてるようだった。私なんかのプライベートを親身に聞いてくれるなんて、本当に有難く思えた。
その続きをもっと聞いてもらいたい――そんな思いにかられ、私は誰にも言ったことのない秘密を話し始めた。


「私、同じ劇団に好きな人がいて、お付き合いしてたんですけど、その人に『お前は演技が単調で面白味が無い』って言われてしまって。結局、私はフラれて、彼はすぐに別の舞台女優と付き合い始めたんです」