夏の出会いは素敵な恋の予感~超人気俳優になった憧れの先輩は、溢れんばかりの愛情で甘く私を包み込む~
「……ひどいな」


「その女優はどんどん成長して輝いて……。私も歯を食いしばって頑張りましたけど、彼に言われた言葉が頭から離れなくて、意識し過ぎて上手く演技ができなくなって。しまいには、下手な演技をお客様に笑われてるんじゃないかって被害妄想ばかりして。舞台に上がると心臓がバクバクしてセリフも出てこなくて。おまけに、毎日、楽しそうにしてる2人を見ると自分のみじめさに落ち込んで、つらくて苦しくて……。フラれたついでに演技までできなくなって劇団を辞めました。本当に……バカな女です」


「……」


「朝吹……さん? ごめんなさい、私ったら、つまらない話をしてしまいました」


「……もしここにその男がいたら、今すぐ僕が殴ってやります」


「えっ……」


「……つらかったですね。でも、もうそんな過去は忘れて下さい。あなたは今、琉唯君のために頑張っている。それに、あなた自身、すごく輝いていますよ」
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