夏の出会いは素敵な恋の予感～超人気俳優になった憧れの先輩は、溢れんばかりの愛情で甘く私を包み込む～

「絢斗さんも確かブロードウェイに行かれたことがありましたよね？ あの時のお話が今でも胸に焼き付いています」


「琉唯君、よく覚えていましたね。あの舞台はとても素晴らしいです。これからの琉唯君の役者人生に必ず役に立つでしょうから、是非とも本場のミュージカルを観てきて下さい。文月さんと一緒なら、なお良いじゃないですか」


「ありがとうございます、絢斗さん。俺も生の感動を味わって勉強したいんです。父さん、いいだろ？」


「……ああ。まあ、文月君さえ良ければ……。いいだろうか？」


星宮社長が、再度、私に優しく尋ねてくれた。


「あっ、は、はい」


　挙動不審な態度だとは思う。
だけど、普段見せない表情と、一社員である私が会社のトップからお願いされていることに、思わず「はい」なんて返事をしてしまった。