夏の出会いは素敵な恋の予感~超人気俳優になった憧れの先輩は、溢れんばかりの愛情で甘く私を包み込む~
「……」


 いないと言われても、簡単に信じられない自分がいる。


「夏凛、頼む。俺の彼女になってほしい」


「え?」


な、何?
とてつもなく綺麗な顔で、瞳をうるうるさせて、いきなり彼女になってほしいって……
これはお芝居? ドラマのセリフとか?


「父さんは、夏凛のことを俺の『彼女』だと思ってる。絢斗さんだって」


「そ、それは琉唯先輩があんなこと言うから誤解されたんですよ」


「誤解……。まあ、とにかく、父さんと母さんを安心させてやりたいんだ。本当に、ずっと心配ばかりかけてきたから……」


琉唯先輩の切ない表情に、胸が締め付けられる。


「……つまりは、ご両親を安心させるために『偽物の彼女』が必要……ってことですよね? 人気俳優の先輩は、まだまだ『本物の彼女』を作れないから……」


私は、疑問を1度言葉にして、自分自身の頭の中を整理しようとした。


「……」
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