夏の出会いは素敵な恋の予感～超人気俳優になった憧れの先輩は、溢れんばかりの愛情で甘く私を包み込む～

「大切な人を安心させたいっていうすごく優しい気持ち、私にも理解できます。でももし、琉唯先輩が本気で彼女役を探しているなら、それは私じゃなくて他の人がいいと思います」


「……なぜ？」


「なぜって……」


琉唯先輩の彼女役がこんな私だなんて、見た目はもちろん、何もかもが釣り合わないことくらいわかってるでしょ？
先輩は、星宮グループの御曹司。私みたいな庶民とは住む世界が違う。


「父さんも母さんも、夏凛なら必ず納得してくれる」


「そんなことないです。きっと……」


「俺は、夏凛に頼みたいんだ」


先輩の言葉に圧倒され、少したじろいだ。


「……ど、どうしてですか？ 私に頼む理由はあるんですか？」


「……それは……コロンに似てるから」


「えっ……」


　まさか、そんな理由？
　そっか……正直、彼女役なんて誰でもいいんだ。
　たまたま再会した昔の仲間に、良い機会だからって彼女役を頼んで、でも、ちゃんとした理由が考えられなくて、つい「コロンに似てる」だなんて。