夏の出会いは素敵な恋の予感~超人気俳優になった憧れの先輩は、溢れんばかりの愛情で甘く私を包み込む~
 何だか拍子抜けしてしまった。
 ほんの少しだけ……何かを期待した自分か恥ずかしくなった。


「夏凛?」


「……あっ、すみません。ちょっと考えてました。確かにご両親には安心してほしいですもんね。その気持ちは大切だと思います。彼女役、私でよければ引き受けます」


そう、これはただの演技。
ご両親を安心させるためだけの、お飾りの彼女を演じればいいんだ。
 演劇部の延長だと思えば……


「そっか、悪いな。助かる」


「いえ。琉唯先輩には高校の時、ものすごくお世話になりましたから。色々、演技についても教えてもらいましたし」


「夏凛は……女優になるのかと思ってた。あの頃は、舞台女優になりたかったんじゃないのか?」


「ま、まさか! ミュージカルを観るのは好きですけど、私なんかが女優になるなんて、夢のまた夢ですよ」


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