夏の出会いは素敵な恋の予感~超人気俳優になった憧れの先輩は、溢れんばかりの愛情で甘く私を包み込む~
「教会で夏凛と話せば? って、本当は絢斗さんが提案してくれた」


「……えっ? 深月総支配人が?」


「ああ。あの人に、夏凛とゆっくり話せる場所がないか聞いたら、ここが良いよって。おかげで2人きりで話せた。絢斗さんに感謝しないとな。じゃあ、また連絡するから。バイバイ」


 バイバイ――


 何だか「キュン」として、とても懐かしく感じた。


ジャケットの制服姿が初々しい1年の自分達と、様になっていた3年の先輩達。その中でも琉唯先輩は誰よりも輝いていて、断然、1番カッコ良かった。


憧れの人がさりげなく言った 「バイバイ」のたったひと言で、私はあの時代に瞬間移動し、頭の中に優しい思い出が溢れた。


「ねえ、夏凛。琉唯先輩、今も変わらずカッコ良いよ……。私、先輩の彼女になるんだ……偽物だけど、でも……」


教会の真ん中で、ステンドグラスから差し込む美しい光を浴びながら、私は思わず高校時代の自分へのメッセージをつぶやいていた。


琉唯先輩との2人きりの秘密の時間――
私は1人、わけがわからないなりにも、胸を高鳴らせ、そっと瞳を潤ませた。
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