夏の出会いは素敵な恋の予感~超人気俳優になった憧れの先輩は、溢れんばかりの愛情で甘く私を包み込む~
2人きりの時間
 本当に来てしまった――


 ここに琉唯先輩が住んでいる。
マンションの前に立つだけでドキドキして、まるで自分がストーカーにでもなったような気分になった。


琉唯先輩に呼ばれてきてるんだから、何も後ろめたいことはない。私はただの家政婦。ただ、夕食を作り、部屋の掃除をするだけ。


「エレベーターで15階か……」


先輩は今、ドラマの撮影で疲れてる。かなり暑い中での撮影はとてもハードだと思う。
だから、何か美味しいものを食べてもらいたいとずっと頭を悩ませていた。
 

昔から母親の家事を見ていて、料理は得意な方ではあるけど、琉唯先輩に作るとなる話は別。
 星宮グループの御曹司が何を食べて育ってきたかなんて全く想像がつかないし、庶民の味がはたして琉唯先輩の口に合うのかとても心配だ。


 でも、先輩を想う気持ちは誰にも負けないつもりだし、とにかく、ここまで来たら一生懸命心を込めて作るしかないと思った。


「うん、買い物は済ませたし、あとは気合いだ、気合い」
< 30 / 135 >

この作品をシェア

pagetop