夏の出会いは素敵な恋の予感~超人気俳優になった憧れの先輩は、溢れんばかりの愛情で甘く私を包み込む~
だけど……
ほんの少しだけ……
その体を隠してしまうのはもったいないと思ってしまった自分もいて、その感情にすごく驚いた。
男性の体に興味が沸くなんてこと、今まで1度もなかったのに。


 琉唯先輩は、Tシャツを着て、すぐにキッチンの近くまできて、今度は料理をする私の手元を見た。


 今度は何? 次々とジェットコースターみたいに色んなことが起こる。本来なら「部屋」ってくつろげる場所のはず。なのに……


琉唯先輩、そんなにジロジロ見ないで――
 思わず心の中で叫ぶ。
 薄らピンクのマニキュアをして、手のお手入れはしてきたけれど、まじまじ見られると恥ずかしい。


「今日は何を食べさせてくれるの?」


 私の顔をジッと見て、甘い声で言う琉唯先輩。
 まだ少し濡れた前髪の隙間から覗く、あまりにも美しい瞳が私の胸をキュンとさせる。


 女優さんは、こんなことを至近距離で琉唯先輩に言われても、きっと冷静に演技ができるんだろう。そのプロ根性には脱帽する。


 私には……無理だ。
きっと今、私の顔は異常なほどに赤くなってるはずだから。
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