夏の出会いは素敵な恋の予感~超人気俳優になった憧れの先輩は、溢れんばかりの愛情で甘く私を包み込む~
「いやだ~。高校時代と今を比べられても困るよ~。この芸能界とただのお遊びクラブとは全くの別世界なんだから。私と琉唯君は、あの頃とは全然違うんだよ」


 あの頃とは違う――
 本当にそうだ。
 琉唯先輩と優梨愛ちゃんは、確かに今、全く違う世界にいる。私とは真反対のキラキラした世界に。
 同じ高校の演劇部だったのに、私だけが浮いていて、ちっちゃな世界で特に何の才能もなく生きている。


「だけど、君達3人が高校時代を一緒に過ごした時間は……きっと素晴らしいものだったに違いない。それは、僕にしたら、とてもうらやましいことだよ」


「朝吹課長……」


いつだって優しい言葉をかけてくれる朝吹課長。その言葉で、私の胸に何かがグッと込み上げた。


「夏凛。俺にもちょうだい」


「えっ」


 その時、急に琉唯先輩が現れて、パウンドケーキを1個、サッと手に取った。
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