夏の出会いは素敵な恋の予感～超人気俳優になった憧れの先輩は、溢れんばかりの愛情で甘く私を包み込む～

「……夏凛は俺の気持ちを知らない」


「えっ？ そ、そうなの？」


「ああ……。情けないけど、俺、高校時代からずっと気持ちを言えないままで。考えると色々怖くなるんだ。自分の想いを伝えたせいで夏凛が俺から離れてしまったら……とか。何をどう言えばいいか、あいつの前では途端に……」


俺のダメな部分を知られるのは正直カッコ悪かった。
案の定、涼香さんは少し驚いた表情を浮かべている。


「琉唯……。強気のあなたにもそういう弱点があるのね。ドラマや映画では散々恋愛してるのに、本当のあなたは、案外恋に臆病なのかしらね。琉唯の知らない部分を知った気がするわ。……とにかく、今は仕事を第1に考えて。あなたには大きな責任があるのよ。それを忘れないで」


「ああ……。涼香さん、俺、そろそろいかないと」


「琉唯」


「ん？」


「……話してくれてありがとう」


　俺は右手をあげて、急いで撮影現場に戻った。