夏の出会いは素敵な恋の予感~超人気俳優になった憧れの先輩は、溢れんばかりの愛情で甘く私を包み込む~
 あれから数年の時を超え、今、私達は隣同士でブロードウェイのミュージカルを観ている。
 今となってはもう一緒にお芝居をすることはできないけれど、それでも私は、この状況に充分過ぎるほど満足していた。


感動の舞台はあっという間に終了し、幕が下りた。
 カーテンコールでは涙が自然に頬を滑り落ち、その後もしばらく深い余韻に浸って放心状態だった。


 琉唯先輩に支えられるようにして座席から立ち上がり、私達は疲れているだろうケンさんに挨拶だけして劇場を後にした。


ケンさんが別れ際にサラッと言った……
「本当に2人はお似合いだな。琉唯、こんな素敵な彼女、絶対に手放すんじゃないぞ。あと、結婚式には必ず呼んでくれよな、楽しみにしてるから」、その言葉が、私の胸に妙に切なく響いた。


 一応、否定はしたものの、そんなことは2人の耳には入ってないようで、琉唯先輩も「ああ」なんて、適当な返事をしていた。


「ホテルまで少し歩こう」
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