夏の出会いは素敵な恋の予感~超人気俳優になった憧れの先輩は、溢れんばかりの愛情で甘く私を包み込む~
「……ごめん、もう行くから。撮影、最後まで頑張ろうな」


「待ってよ、行かないで……」


琉唯君は、何も答えないまま私の前から離れた。
遠ざかっていく背中を見ていたら、私は自分のプライドをズタズタにされた気持ちになった。


「許せない、どうして夏凛なの? あんな子に負けるなんて、1番許せない」


気がついたら、私は撮影場所にいる夏凛を夢中になって探していた。


「あっ、朝吹さん~。すみません、夏凛ちゃん見ませんでしたか?」


本当は、可愛い声を出す余裕なんてない。だけど……


「ああ、優梨愛さん。今、彼女には資料をまとめてもらってるんです。会議室にいますよ」


「そうなんですか~。夏凛ちゃん1人ですか?」


「……え、ええ」


「ありがとうございます~。ちょっと夏凛ちゃんに話があるので行ってみます」
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