夏の出会いは素敵な恋の予感~超人気俳優になった憧れの先輩は、溢れんばかりの愛情で甘く私を包み込む~
「星宮グループにはたくさん男性がいるでしょ? 必ず誰か適当な人がいるから、琉唯君を手に入れようなんて厚かましいこと考えないで。いいわね、そろそろ行くわ」


「……優梨愛ちゃん」


「そんな目で見ないでね~。これはあなたのためだから。もちろん、琉唯君のためでもあるんだからね。じゃあね」


男に媚びるようなその視線。それが琉唯先輩を勘違いさせたんだ。コロンみたいだなんて……
夏凛への腹立たしい気持ちが一気に心の中に充満する。


でも優梨愛、あなたは女優よ――


厳しいレッスンにも耐えて頑張ってきたんだし、もっと冷静になってしっかりしなきゃ。私は琉唯君と同じレベルに上がるために最大の努力をした。だから、夏凛になんて負けるわけがない。
高校時代から全てに勝ってきた私が、夏凛なんかに負けてたまるもんですか!


撮影のセットに入る直前、私はいつもの女優の顔に切り替えた。


そう、これが私――倉木 優梨愛だ。
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