月島家のお守り四つ子~イケメン女子でも可愛いものが好きなんです!〜

月島家の御守り兄妹

 OKした途端、あれよあれよと門の中に誘導されてしまった。
 晦さんだけは少し残って、黒スーツの男たちを警察に突き出すよう他の人たちに指示を出していたけれど。
 広い和風の庭をつきぬけてお屋敷の中に入ると、そのまま「服が汚れているから洗濯しようか」と望ちゃんに言われて脱衣所に連れ込まれる。

「とりあえずこれに着替えて?」

 と渡されたのは百合柄の浴衣。

「いや、洗濯までしてもらわなくても――」
「いいの、その間にお礼の準備するから」

 断ろうとしたけれど、笑顔で説得されてしまった。
 くるくる動く望ちゃんは可愛くて、ついほほ笑ましい気分になっちゃうのも強く断れない要因かもしれない。
 脱衣所のドアが閉められて一人になった私は、仕方ないなとため息をついて服を脱ぎ始めた。

「あちゃー……確かにこれは洗濯しないとだね」

 脱いだシャツとハーフパンツを見て顔をしかめる。
 地面に倒れたと言ってもアスファルトだし、そこまで目に見えて汚れてないと思ってた。
 でも倒れた場所が悪かったのか、よく見ると思っていた以上に焦げ茶色の土で汚れている。
 これは洗濯しようかって言われるわけだよ。
 いまさらながら納得した私は、汚れた服をひとまず置かれていたカゴに置いてすぐ側の洗面台に移動する。
 服がこれなら腕や足も汚れているかもしれない。真新しい浴衣を汚す訳にもいかないよね、と思って鏡でチェックしながら汚れているところを水で洗い流した。
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