月島家のお守り四つ子~イケメン女子でも可愛いものが好きなんです!〜
「さっき見た限りでも剣道を習っているみたいだし……学校の中だけでも望の護衛をしてもらえるととても助かるんだ」

 それが頼みたいことらしかった。
 望ちゃんはカワイイし、さっき会ったばかりだけれど結構好きな部類の女の子だって思う。
 守ること自体に不満はないんだけど……。

「でも、私こっちでは剣道するつもりはなくて……」

 カワイイものが好きだって自信を持って言える女の子になりたい。
 そう決意したのはついさっきのことだ。
 剣道をやって、また前の学校みたいにカッコイイと理想を押しつけられたくなかった。
 望ちゃんがさらわれるのは見過ごせないけれど、だからと言って護衛をするのは嫌だ。
 そう思って眉間にしわを寄せていると、朔さんが軽く息をついて「気負わなくていい」と幾分優しそうな声をかけてくれた。

「護衛なんて言ってるけど、確実に守ってくれって言ってるわけじゃない。俺たちが見ていられない学校内で、望が危ない目に遭わないよう友だちとして側にいてくれればいい」
「あ、それなら……」

 友だちとして一緒にいるなら、何の問題もない。むしろ、初めての学校で多少なりとも不安だった私としても、望ちゃんみたいな友だちが出来るのは大歓迎だ。

「友だちとして側にいるだけなら大丈夫です。私もさっそく友だちが出来るならうれしいし」

 私の答えに、朔さんは無表情だった顔を緩める。

「そうか、ありがとう」

 ふわっと優しくほほ笑んだ朔さんを見て、私の心臓は大きくドキッて跳ねた。
 可愛くすら見える笑顔は、無表情とのギャップもあって破壊力がハンパない。
 余韻のようにドキドキ鳴る胸を押さえていると、「失礼するね」と廊下から声がかかって襖が開いた。
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