月島家のお守り四つ子~イケメン女子でも可愛いものが好きなんです!〜
「晦、俺の前であさひさんを口説かないでくれるかな?」

 私から手を離して、晦さんの肩を軽く押した満さんは続けて不思議なことを言う。

「あさひさんを狙ってるのは晦だけじゃないんだぞ?」

 どういうことだろう? 狙ってる?

「わかってるよ。だからこそ積極的に口説いてるんじゃねぇか」
「じゃあ、それを邪魔するのも俺の自由だよね?」

 二人がなにを言っているのかよくわからなくなってきた。
 大体、口説くとか言ってるけれど本気なのかどうかすらわからないし。

「何にせよもう寝る時間だろ。あんまりあさひさんを引き留めるのは悪いよ」
「……案内してもらってたやつが言うか? それ」

 呆れた様子の晦さんは、ため息を吐くと私にヒラヒラと手を振った。

「でも確かに寝る時間だな。じゃあまた明日な、あさひ。おやすみ」
「ここまで案内してくれてありがとう。おやすみ、あさひさん」
「あ、おやすみなさい」

 満さんにもおやすみのあいさつをされて返すと、二人は廊下の先へと進んで行ってしまった。
 何だったんだろう? と少し気疲れした気分で息を吐くと、私も(きびす)を返して客室の方へと戻った。
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