月島家のお守り四つ子~イケメン女子でも可愛いものが好きなんです!〜
***

「わぁ! あさひちゃんかわいい!」

 いつものウサギみたいな髪型に、白いフワフワの髪飾りをつけてさらにかわいくなった望ちゃんが嬉しそうに手を叩いた。

「そ、そうかな? ありがとう」

 いつものポニーテールを下ろして、ハーフアップの髪を二つに分けてお団子にしてもらった私は慣れない髪型にちょっと戸惑う。
 でも、かわいいと言われて悪い気はしない。
 一緒にいた他のクラスメートたちも口々に褒めてくれた。

「本当にカワイイよ! お団子がちょっと三角になって角みたいに見えるけど」
「角? 角って言うより……陽木さんつり目だから、どっちかっていうと猫耳みたいにも見えるよ?」
「猫耳メイドか! いいなそれ!」
「陽木そういうカワイイの好きなんだろ? ちょうどいいじゃん!」

 剣道が強いところを見ても、私のカワイイもの好きを否定しないでくれているクラスメートたち。
 朔さんや望ちゃんが気をつかって間に入ってくれたからでもあるけれど、きっとそれがなくても前の学校の子たちみたいに否定はされなかったんだと思う。
 だって、『そういえば自己紹介のときにカワイイものが大好きだって言ってたもんね』とちゃんと覚えてくれていた子もいたから。

 強い私も、カワイイもの好きの私も受け入れてくれるクラスメートたちに感謝すると同時に申し訳ないとも思う。
 きっと、私がみんなを信じていなかっただけなんだ。
 このクラスのみんなも、前の学校の子たちと同じだって……私の大事なものを否定するような人たちだって決めつけてしまってたんだ。

 朔さんの言葉で、自分を縛りつけていたんだって気づいてから、自然体で過ごすようになった。
 剣道が強いことを隠さず、カワイイものが好きなのも隠さずに過ごした。
 そうしたら、思っていた以上にアッサリとみんなは受け入れてくれたんだ。

「よしっと、じゃあ準備はいい!? そろそろはじめるよ!」

 文化祭実行委員の子がみんなに呼び掛ける。
 動き出すみんなに合わせて、私も立ち上がりメイド風衣裳のシワを伸ばした。
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