月島家のお守り四つ子~イケメン女子でも可愛いものが好きなんです!〜
 私も心臓が止まってしまうんじゃないかって思ったくらいだもん、仕方ないよね。
 だって、お化け役の人たちは本当に怖かったんだもん。

 さっき見たゾンビ役の人、ヴァンパイアの人は目をカッと開いて牙のある口には血のりがついているし、髪の長い白い着物を着た幽霊役の人は隠している片目が腫れ上がってるように見える。
 そんなお化け役の人たちが無言でにじり寄ってくるんだもん、すごく怖い。

「あはは! おもしろーい。本物なわけないのにこんなに怖がるなんて」
「ホントホント、カッコイイとか言われてる陽木さんがこんなに弱々しいとか、ゲンメツする子もいるんじゃない?」
「記念の写真でも撮っとく?」

 宮義さんたちは私たちの反応を面白がってスマホを取り出した。
 怖がる私たちに気分を良くしたのか、お化け役の二年生たちもニヤリと笑ってさらに脅かそうとしてくるし。
 怖すぎて涙目になったところに、また別の声がかけられた。

「これは都合がいい。こんなところに月の巫女がいるなんてな」

 でもそれは、私と望ちゃんにとっての助けというわけじゃなかった。

「え?」

 宮義さんたちやお化け役の人たちが振り返る。
 そこには、ナイフの先をこっちに向けた男の人が三人ほど立っていた。
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