月島家のお守り四つ子~イケメン女子でも可愛いものが好きなんです!〜
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 一度学校に戻った私たちは、何事もなかったように文化祭の後片づけをした。
 誘拐されかけたけれど、すぐに助けられてそれほど時間がたっていなかったから、クラスメートたちは私と望ちゃんが学校からいなくなったこと自体知らなかったみたい。

 誰かに拘束を解いてもらえたらしい宮義さんたちも、私たちが誘拐されたことは何も言わなかったみたいだし。
 それでも目が合うと気まずそうに視線をそらされたから、少しは悪いと思っているのかな?
 このまま大人しくなってくれると助かるけれど、と思いながら波乱の文化祭を終えた。


 学校から出るときに、お母さんへ今日は望ちゃんの家に寄っていくから帰りは遅くなると連絡を入れる。
 そのまま今日は満さん、晦さん、弦さんも一緒にみんなで帰った。
 月島家の屋敷に行くと、いつもの居間ではなく行ったことのない奥の部屋へと通される。

「今日はね、おばあちゃんに会ってほしいの」
「望ちゃんのおばあちゃんって……神社の管理をしてるっていう?」
「そう」

 うなずいた望ちゃんは、それ以上何も話さず廊下を進んでいった。
 一緒に歩いていた四つ子のお兄さんたちも、みんな神妙(しんみょう)な様子でなにも言わない。
 自然と緊張感が高まって、背筋が伸びる。
 奥の部屋は道場のような板張りの広い部屋で、そこの中央に着物を着た少し恰幅(かっぷく)のいいおばあさんが背筋を伸ばして座っていた。
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