再会した航空自衛官の、5年越しの溺愛包囲が甘すぎます!
「あ、そうだ羽琉。私、お手洗いに行ってくるから先にファンサービスに行ってて。悠翔のサイン貰ってきなよ」
そう言って私は急いでこの場を離れた。
向かう先はここから少し離れた場所にいる愛梨さんのところだ。
「すみません」
彼女のうしろから声を掛ける。振り向いた愛梨さんの視線が私を捉え、驚いたように目を丸くした。
私のことを覚えているのだろう。
すぐに元の表情に戻った愛梨さんがゆっくりと口を開く。
「あなた、たしか秋村さんの元カノ。どうしてここにいるの?」
「今日の展示飛行を見に来たからです」
そう答えると、愛梨さんはふんと鼻で笑った。
「別れたのに未練があるのね。かわいそう」
自然と手に力が入り、爪が食い込むほどぎゅっと握りしめた。
前回はなにも言い返せなかったけれど今日は違う。私は彼女に話がある。
「上官の娘というのは嘘だったんですね」
はっきりとそう口にすると愛梨さんの表情が変わる。
目つきが鋭くなり、私の手首をぎゅっと握った。
「その話、ここじゃないところでゆっくりしましょう」
愛梨さんが私の手首を掴んだまま、ずんずんと歩いていく。
「えっ、あ、ちょっと」