再会した航空自衛官の、5年越しの溺愛包囲が甘すぎます!
鋭い視線で私を睨みつけてくる愛梨さんが大きく右手を振り上げる。
叩かれる……!
そうわかったけれど、体が動かない。
「私の前から消えてよっ」
そう叫んだ愛梨さんが振り上げた右手を私に向かって下ろそうとした、そのとき――。
「こんなところでなにをしてるんだ」
振り上げた愛梨さんの右手を彼女の背後に現れた人物が掴んで止めた。うしろを振り返った愛梨さんの顔からサーっと血の気が引いていくのがわかる。
「……秋村さん」
愛梨さんの右手首を掴んでいるのは悠翔だ。
「彼女になにをしようとしていた」
めったに見ることがない険しい表情で悠翔が愛梨さんを強く睨む。
あきらかに私を叩こうとしていた彼女は悠翔から視線を逸らし、悔しそうにぐっと下唇を噛んだ。
悠翔が掴んでいた愛梨さんの右手首を離す。そして、愛梨さんから隠すように私の前に立った。
「きみとは付き合えないと以前から伝えているはずだ。いい加減、俺のまわりをうろうろとするのはやめてくれないか」
悠翔が愛梨さんに向かってはっきりと言った。
きっと彼も愛梨さんの迷惑行為には頭を悩ませていたのだろう。それが伝わってくるような話し方だ。