航空自衛官の元カレの偽装婚約者になりました


「羽琉から聞いたんだ。美羽が知らない女とどこかへ消えたって」

「羽琉が……」


きっと羽琉は私と離れたあとも視線で私の姿を追っていたのだろう。


「でも悠翔、ファンサービスの途中だよね。こんなところにいていいの?」


抜けてきてしまって大丈夫だろうか。私のせいで迷惑をかけてしまったかもしれない。


「問題ない。終わってから羽琉に聞いて、急いで美羽を捜してここに来たから」

「そっか。ありがとう」


私を心配してくれたんだ。

悠翔の優しさに胸がじんと熱くなる。


「彼女のことだけど……」


悠翔が気まずそうに口を開いた。


「美羽とまだ出会う前に知り合った女性で、どうやら俺に一方的に好意を寄せているみたいなんだ」

「知ってる。悠翔のストーカーでしょ」

「どうして知って……」


悠翔が驚いたように目を見開く。


「この前、亮二さんから聞いた。それに私、三年前の航空祭でも彼女と話したことがあるから」

「えっ」


悠翔にはずっと黙っていたけれど打ち明ける。

愛梨さんが悠翔の上官の娘で、父親から悠翔との結婚を勧められていると言われたこと。私よりも自分の方が悠翔の結婚相手には相応しいと言われたことなど、当時の状況を説明した。


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