再会した航空自衛官の、5年越しの溺愛包囲が甘すぎます!
ピンチを救ってくれた彼に私はすっかり一目惚れをしていたのだ。
ここで別れたらたぶんもう会えない。そんな思いからお礼をさせてほしいと言ったのに……。
「けっこうです」
私の申し出はあっさりと断られてしまう。
「それじゃあ」
男性が颯爽と階段を駆け上り、この場を去っていく。
その背中をしばらく見つめていたが、どうしても彼とまた会いたい私は運動不足の体に鞭を打って階段を駆け上った。
男性はすでに改札を通ってしまったと思ったが、券売機の列に並んでいた。
「まっ、待って、ください」
とっさに男性の服を掴む。
「あ、あの……」
階段を駆け上ったことで息切れをしているためうまく喋れない。
呼吸を整えながらバッグに手を伸ばし、名刺入れを取り出した私はその中の一枚を手に取って男性に渡した。
「私、笹倉美羽といいます。お礼がしたいのでお時間あるときに連絡してください」
名刺には私のスマートフォンの番号も書かれている。
それを男性に押し付けるように手渡し、ぺこりと頭を下げた。
強引だっただろうか……。
途端に自分の行動が恥ずかしくなり、私は足早にこの場を去った。