再会した航空自衛官の、5年越しの溺愛包囲が甘すぎます!
どちらかというと私は恋愛に奥手な方だ。
中学の頃に同じ先輩に三回告白して振られたのがトラウマになっているようで、どうせ私がアピールしたところで振り向いてはもらえないとうしろ向きな考えが定着していた。
そのせいでこれまで彼氏がいたことはない。
そんな私が自分からアピールをしている。冷静を務めているが、内心は心臓がバクバクだ。
それなのに……。
『以前もお伝えしましたが、お礼はけっこうです』
また断られてしまった。
前回もはっきりと断られたことを思い出してがっくりと肩を落とす。
恋愛に奥手な私が勇気を出して食事に誘ったものの結果は撃沈。
こうして連絡はくれたけれど、彼はお礼という名の食事には行きたくないのだろう。
話し方からして誠実な人柄が伝わってくるので、名刺をもらった以上はとりあえず連絡をしてくれたのかもしれない。
つまり、秋村さんは私には興味がない。
名刺を渡されたのも彼からすれば迷惑だったに違いない。
『……そうですか』
しょんぼりとした気持ちが声に出てしまう。
名刺まで渡した図々しい自分の行動が途端に恥ずかしく思えて、早く電話を切りたいとさえ思ってしまった。
けれど、『あの……』と秋村さんの声が耳に届く。