再会した航空自衛官の、5年越しの溺愛包囲が甘すぎます!


『お礼の代わりに、笹倉さんに頼み事をひとつ聞いていただけないかと思って』

『頼み事ですか?』


なんだろう。

不思議に思っていると秋村さんが尋ねてくる。


『ちなみに、笹倉さんはこちらのご出身ですか?』

『そうです』


生まれも育ちもこの街だ。

都会に憧れた時期もあり、高校卒業後は東京の大学に進学しようと思っていたけれど結局は地元に残った。

私はこの街を出たことは一度もない。

私がこの街の出身であることが秋村さんの頼み事に関係しているのだろうか。


『それならよかった。自分、仕事で最近この街に来たばかりなんです。もしよかったらお時間のあるときでいいのでこの街を案内していただけませんか』

『えっ』


まさかそんな頼み事をされるとは思わず一瞬固まる。


『えっと……私でいいんですか?』

『はい。ぜひ笹倉さんに』


一方的に好意を寄せている男性からそんな風に言われては舞い上がってしまう。


『よろこんでお引き受けします!』


スマートフォンを握り締めながら私は大きくうなずいた。

電話の向こうから『よろしくお願いします』という秋村さんの声が聞こえて、また彼に会えるのだと胸の高鳴りはしばらく止まらなかった。




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