再会した航空自衛官の、5年越しの溺愛包囲が甘すぎます!
三年前のプロポーズ
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桜が見頃を迎え、色とりどりの花が咲き誇る四月。
冬は寒さが厳しいこの地域にもようやく春が訪れ、温かい日差しが心地のよい季節になった。
ぽかぽか陽気の中、私――笹倉美羽は友人との待ち合わせ場所に向かって急いでいる。
「――くっしゅん」
その途中でくしゃみが出た。
「誰か噂でもしてるのかな」
立ち止まり、バッグの中から取り出したポケットティッシュで鼻をかむ。
季節的に花粉のせいだろうけれど、それを認めたくなくて別の理由をこじつけた。
自宅から徒歩十分ほどの場所にある閑静な住宅街。その中に佇む小さなカフェを見つけて扉を開けた。
「こんにちはー」
木目調のインテリアで統一された店内には明るい日差しが差し込んでいる。
この辺りではわりと有名なカフェで、今はお昼時とあってほどよく混み合っていた。
「あ! 美羽、いらっしゃい」
店内の奥から現れたのは白無地のシャツに黒のパンツ、その上からシンプルなベージュのエプロンを着た友人――高平明日香だ。
このカフェのオーナー夫妻の娘で、私と同じ歳の二十八歳。