再会した航空自衛官の、5年越しの溺愛包囲が甘すぎます!


「笹倉さんはどんなお仕事を?」

「私は事務員です。秋村さんと初めて会った駅の近くにある食品加工会社で働いて五年目になります」


短大を卒業後、この地域の海で獲れた魚介類を使った加工食品の開発や製造などを行っている会社に就職した。

社長などの役員をすべて身内で固める家族経営のせいか、独裁的なワンマン経営気味のいわゆるブラック企業だが、生活のため我慢して働いている。

秋村さんと初めて会った日も長時間の残業に疲れ果て、ふらふらと歩いていたところ階段からうっかり足を踏み外してしまった。

そこを彼が助けてくれたというわけだ。

今日は大型連休というのもあり、普段よりも車が多い気がする。これから向かう場所も他県から来た観光客などで賑わっているのだろう。

到着予定時間よりも遅れてしまいそうだ。


「笹倉さんのお名前は美羽さんですよね。美しいという字に羽と書いて」


ナビを見ながら安全運転で目的地まで進んでいると、ふと秋村さんに尋ねられたので「はい」とうなずいた。

おそらく私が以前渡した名刺を見て名前の漢字を知ったのだろう。


「自分の名前にも羽という字が入るんです。悠翔の〝と〟が羊編に羽と書くので」


頭の中でその漢字を思い浮かべる。


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